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【介護保険最新情報Vol.1418】要点を解説
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概要
令和7年9月5日、厚生労働省は「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.16)」を発出しました。今回の内容は、介護老人保健施設などにおける「協力医療機関の要件」に関する明確化を中心としています。
詳細は介護保険最新情報Vol.1418をご確認ください。
質問内容
| 原文 |
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| 介護老人保健施設は、基準省令において、入所者の病状の急変等に備えるため、あらかじめ、協力医療機関を定めておかなければならないこととされている。この点、協力医療機関の要件として、「当該介護老人保健施設からの診療の求めがあった場合において診療を行う体制を、常時確保していること。」、「入所者の病状が急変した場合等において、当該介護老人保健施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。」が規定されているが、それぞれ、入所者に対して常に往診を行う体制が整っていない場合、入所者が入院を要する場合に備えて、常に空床を確保していない場合においても要件を満たすものとして差し支えないか。 |
この質問は、介護老人保健施設が定める協力医療機関の体制要件について、「常時往診体制」や「入院用の空床確保」がなくても基準を満たすとみなせるかどうかを確認するものです。
つまり、協力医療機関が柔軟な運用(常勤対応や専用病床の確保を必須としない形)でも要件を満たすかを問う質問です。
回答
| 原文 |
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| 貴見のとおり。介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 40 号)第 30 条第1項第2号に規定する「当該介護老人保健施設からの診療の求めがあった場合において診療を行う体制を、常時確保していること」の要件については、介護老人保健施設からの診療の求めがあった場合において、常時外来も含めて診療が可能な体制を確保する必要があることを求めているものであり、必ずしも往診を行う体制を常時確保している必要はない。 また、同項第3号に規定する「入所者の病状が急変した場合等において、当該介護老人保健施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること」の要件については、必ずしも当該介護老人保健施設の入所者が入院するための専用の病床を確保する必要はなく、一般的に当該地域で在宅療養を行う者を受け入れる体制が確保されていればよい。 これらの考え方については、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護医療院及び養護老人ホームにおける協力医療機関についても同様(※)である。なお、協力医療機関を定めておくことは、令和9年4月1日より義務化(令和9年3月 31 日まで努力義務)されるが、期限を待たず、可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい。 ※ 前段の「診療の求めがあった場合において診療を行う体制を、常時確保していること」の要件の考え方については、令和6年度介護報酬改定で協力医療機関を定めることを努力義務とした特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護及び軽費老人ホームについても同様である。 |
協力医療機関の体制要件の明確化
介護老人保健施設では、入所者の急変時に備えて協力医療機関を定める必要がありますが、その要件の運用が具体的に示されました。
- 「診療を行う体制を常時確保していること」とは、外来を含め診療が可能な体制を求めるものであり、常に往診体制を確保する必要はない
- 「入院を要すると認められた入所者の入院を原則受け入れる体制」とは、専用病床を常時確保する必要はなく、地域全体で在宅療養者を受け入れられる体制があれば要件を満たす
- この考え方は、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護医療院、養護老人ホームなどにも同様に適用される
義務化の時期
協力医療機関の設置は、令和9年4月1日から義務化されます(令和9年3月31日までは努力義務)。ただし、厚生労働省は「期限を待たず、可及的速やかに連携体制を構築することが望ましい」としています。
対応のポイント
介護施設の経営者や管理者は、協力医療機関との連携体制を早期に整備することが求められます。特に、往診体制や専用病床を必須としない柔軟な要件が示されたため、地域の医療機関と協定を結び、緊急時の対応ルールを明文化するなど、実務的な準備を進めることが重要です。
まとめ
今回の通知は、協力医療機関の要件を現実的に運用できるよう整理したものです。介護施設は医療機関との連携体制を確実に構築し、制度改正に先立って実践的な対応を進めることで、入所者の安全と安心の確保につなげることが期待されます。