Nursing care
materials 介護資料
【介護保険最新情報Vol.1409】要点を解説
投稿日:
概要
厚生労働省は令和7年7月30日、「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」を一部改正しました。
本改正は、単身高齢者や身寄りのない高齢者が増加する中、消費者被害の防止や介護施設等での受け入れ体制強化を目的としています。また、相談対応や事業者選定に関する具体的手順を明確化し、関係機関との連携強化を図る内容です。
詳細は介護保険最新情報Vol.1409をご確認ください。
主な変更点
高齢者等終身サポート事業の需要拡大と利用者保護の必要性
高齢者に対して身元保証や死後事務、日常生活支援などを提供する「高齢者等終身サポート事業」が増加し、今後さらなる需要拡大が見込まれることを踏まえ、今回の改正でこの点が新たに明記されました。
また、当該事業は葬儀や財産処分などの死後事務を含む長期契約が特徴であることから、利用者保護の重要性が高いとして、事業者の適正運営を確保し、事業の健全な発展と高齢者の安心につなげる必要性が明確化されました。
「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」の策定が新たに明記
令和6年6月、厚生労働省は関係省庁と連携し、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定したことが新たに明記されました。
このガイドラインは、高齢者等終身サポート事業の適正な運営と健全な発展を促進し、利用者が安心してサービスを利用できる環境を整備することを目的としています。これにより、事業者が利用者保護の観点から適切に事業を行うための指針が示されました。
介護施設等での「身寄りのない高齢者」受け入れ対応の明確化
身元保証人がいないことを理由に、施設が入所を拒否することは不適切であると明記。監督機関は不当な入所拒否が行われないよう指導・監査を徹底することが求められました。
また、厚労省研究事業で作成された参考資料「『身寄りのない高齢者』を介護施設等で受け入れるときの主なポイント」(別添5)を活用し、 各事業所で受け入れ手順・対応マニュアルを整備することが推奨されています。
参考資料
別紙1
平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「地域包括ケアシステムの構築に向けた公的介護保険外サービスの質の向上を図るための支援のあり方に関する調査研究事業」報告書
別紙2
「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ
別紙4
平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業」報告書
別紙5
「身寄りのない高齢者」を介護施設等で受け入れるときの主なポイント
別紙6
身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン
別紙7
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
対応のポイント
介護事業所や地域包括支援センターの経営者・管理者は、以下の点に留意して対応を進めることが重要です。
- 入所時の身元保証人の有無に関する運用を再確認し、拒否のない体制を整備する。
- ガイドラインや普及資料を職員研修に活用し、適正な契約助言や苦情対応を行う。
- 地域の消費生活センター・包括支援センターと連携し、相談やトラブルに迅速に対応する。
- 受け入れ・契約・支援に関する内部マニュアルを整備し、実践的な運用を徹底する。
まとめ
今回の改正は、高齢者の権利保護と安心した生活環境の確保を目的とした実務的な見直しです。
介護施設・居宅サービス事業所・包括支援センターは、ガイドラインと資料を活用し、身寄りのない高齢者を地域全体で支える体制づくりを進めることが求められます。経営層はリスクマネジメントの観点から運営基準を再整備し、職員が安心して支援できる仕組みを構築することが重要です。