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【介護保険最新情報Vol.1398】要点を解説
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概要
令和7年6月30日、厚生労働省より「介護サービス情報の公表制度」に関する制度改正の通知が発出されました。本制度は、介護サービスを必要とする利用者や家族が、安心して事業所を選択できるよう、事業所の情報を公平・的確に公表することを目的としています。
今回の改正では、調査・公表体制の明確化や調査員制度の見直し、報告・公表手続の整備が行われました。改正内容は令和7年度より順次適用され、都道府県・指定都市・介護事業者はそれぞれ必要な対応が求められます。
詳細は介護保険最新情報Vol.1398をご確認ください。
要点
今回の改正では、公表制度全体の運用を見直し、実施体制の明確化、調査員の資格要件、情報報告の手続き、対象サービスの範囲拡大など、多岐にわたる項目が整理されました。これにより、利用者にとって信頼性の高い情報提供が可能となる一方で、自治体および事業者には新たな準備や体制構築が求められます。
調査・公表の実施体制の明確化
調査や公表業務を担う「指定調査機関」および「情報公表センター」の選定・運営において、利害関係の排除や中立性の確保が義務付けられました。
また、都道府県・指定都市は、毎年度「報告計画」「調査計画」「情報公表計画」の3つの計画を策定・公表する必要があります。
調査員の登録・養成制度の創設
今後は、所定の研修を修了した者だけが調査員として従事できるようになり、都道府県等により名簿管理が行われます。研修はサービス種別ごとに分かれ、経験年数等により一部免除される場合もあります。
報告・公表手続の見直し
介護サービス事業者は、以下の情報を年1回報告する義務があります。
- 基本情報(所在地、職員体制など)
- 運営情報(サービス内容、運営体制など)
- 財務情報(収支・資産状況など)
報告は原則電子申請で行い、不備がある場合には是正・補正を求められます。公表内容は原則そのまま公開されますが、苦情があった場合には適切な対応が必要です。
公表対象の拡大と処分情報の掲載
地域包括支援センターや有料老人ホーム、生活支援体制整備事業の情報も、公表制度の対象に含まれるようになりました。また、事業所が受けた処分や行政指導に関する情報も、システム上で公表されることになります。
対応のポイント
介護事業者
- 毎年の情報報告(基本・運営・財務)の準備と正確な記載
- 自施設の公表情報に対する責任を持ち、誤りがあれば速やかに修正
- 苦情対応や是正指導への誠実な対応
- 必要に応じて調査対応の担当者を配置・育成する体制づくり
まとめ
本改正は、介護サービスの「見える化」を一層推進するものであり、制度の透明性・公平性の向上が期待されます。
利用者が安心して事業所を選べるよう、自治体・事業者が連携し、調査・報告・公表の各プロセスを丁寧に遂行することが重要です。
特に、今後は公表情報が処分歴や苦情対応にも及ぶため、日頃からの適正運営と誠実な情報管理が求められます。自治体・事業所ともに、制度改正の趣旨を理解し、速やかな体制整備を進めることが求められます。