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【介護保険最新情報Vol.1391】要点を解説
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概要
厚生労働省は、令和7年6月4日付で「健康保険法施行令等の一部を改正する政令等の公布について」の通知を発出しました。この通知は、健康保険法、後期高齢者医療制度、そして介護保険法に関連する政令の一部改正に関するものであり、主に令和7年8月1日の施行を予定されています。
本通知には、13枚の別添資料が同封されており、制度改正の具体的な内容や施行上の注意点が示されています。
詳細は介護保険最新情報Vol.1391をご確認ください。
改正の趣旨
今回の改正では、低所得者の自己負担が不当に増加しないよう、所得区分の判定基準を見直すこととされました。これにより、年金の自然増額によって支援から除外されることを防ぎ、必要な支援を継続的に受けられるようにすることが本改正の趣旨です。
高額介護(予防)サービス費の支給に関して
高額介護(予防)サービス費の支給に関しては、所得区分の判定基準として「年金等の収入と合計所得の合計が80万円以下」であることが用いられていました。
しかし、令和6年度から老齢基礎年金の年額が80万円を超えることとなったため、従来の基準のままでは低所得者が本来受けられる支援の対象から外れてしまう可能性が出てきました。
特定入所者介護サービス費について
介護保険施設に入所する低所得者に対し、食費や居住費の軽減を行う「特定入所者介護(予防)サービス費(補足給付)」についても同様に、所得区分の基準が80万円以下とされていることから、老齢基礎年金の増額により支援対象外となってしまう懸念がありました。
改正の内容
1.高額介護(予防)サービス費における所得区分の見直し
高額介護(予防)サービス費の支給に関して、低所得者かどうかを判断する基準の一部として設定されている「年金等の収入と合計所得の合計額」の上限が、従来の80万円から80.9万円へ引き上げられます。
これにより、年金額の増加により対象外となることを防ぎ、本来支援が必要な人が引き続き軽減措置を受けられるようになります。
2.補足給付(食費・居住費負担軽減)における所得区分の見直し
介護保険施設等において、低所得者に対して提供される補足給付(特定入所者介護(予防)サービス費)や、食費・居住費の負担限度額の設定に用いられる所得区分についても、基準額が80万円から80.9万円へ引き上げられます。
この見直しにより、老齢基礎年金の増額による不利益を回避し、対象者の継続的な支援が可能となります。
対応のポイント
介護事業所は、以下のような対応が求められます。
- 利用者負担の変更や上限額の見直しに伴い、請求処理・契約内容の再確認が必要になる。
- ケアマネジャーや相談員、受付事務等に対する改正内容の周知と研修を行い、現場での混乱を防ぐ。
- 必要に応じて重要事項説明書・契約書の見直し・再交付対応を行う。
まとめ
本通知は、今後の社会保障制度の持続性と公平性を確保するために、介護保険を含む複数制度の一体的な見直しを示す重要な内容です。介護保険制度においても、利用者負担の見直しや運用規定の整理が行われており、令和7年8月1日の施行に向けた事前準備が急務となります。
保険者や介護事業所においては、制度改正による影響を的確に把握し、関係職員や利用者への丁寧な対応を行うことが求められます。特に、システム対応や契約内容の見直し、説明責任の強化など、実務的な対応を計画的に進めていくことが今後の安定運用の鍵となります。