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【介護保険最新情報Vol.1387】要点を解説
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概要
令和7年6月3日、厚生労働省より「多様な主体による総合事業(サービス・活動A等)実施の手引き」と「都道府県プラットフォーム構築の手引き」が公表されました。
高齢者の地域生活を支えるため、介護サービスのみならず、地域住民・民間企業・NPOなど多様な主体の参画を促進し、地域包括ケアシステムを推進することが目的です。特に、生活支援コーディネーターの役割や自治体における支援体制整備の強化が求められています。
詳細は厚労省の介護保険最新情報Vol.1387をご確認ください。
要点
多様な主体による総合事業実施の手引き
多様な主体の参画により、地域の日常生活を支える「サービス・活動A」の実施プロセスや活用パターンが整理されています。高齢者の尊厳ある生活を支えるため、市町村が中心となり、医療・介護の専門職と地域住民・民間事業者など多様なプレイヤーが連携し、地域資源を活かした総合事業の推進が求められています。
都道府県プラットフォーム構築の手引き
都道府県における「生活支援共創プラットフォーム」の構築方法を整理した手引きです。医療・介護に限らず、交通・産業・商業・住民活動など広範な分野の関係者が参画することで、地域包括ケアを深化・推進することが目的です。各都道府県は、市町村支援の中核として、情報収集・調整・伴走支援を行う体制整備が求められます。
地域住民と地域の多様な主体との連携の推進
令和6年度より創設された「住民参画・官民連携推進事業」により、生活支援コーディネーターが地域住民・医療介護関係者・民間企業などと連携し、課題の洗い出しと地域資源の活用を進めます。タウンミーティングやモデル事業を通じて、地域力を引き出し、多様なサービスを共創する役割が強化されています。
生活支援共創プラットフォームの構
国、都道府県、市町村の3層構造で、多様な主体のネットワークを形成し、地域包括ケアの基盤として生活支援共創プラットフォームを構築します。特に都道府県は、市町村の支援や情報発信の拠点となり、調査研究事業や基金活用を通じて整備が進められています。令和7年度以降、本格的な構築支援が予定されています。
全国版プラットフォーム(イメージ)
全国規模の団体や行政機関が参加し、生活支援に関する事例・施策・イベント情報を発信・共有するための基盤です。専用ホームページと定期的なシンポジウムを活用し、自治体や地域団体との相互交流を促進します。都道府県・市町村プラットフォームとの連携も想定され、地域課題の解決に向けた共創を目指しています。
第1回オンラインシンポジウムと今後のスケジュール
令和7年春に第1回オンラインシンポジウムが開催され、厚労省からのメッセージや地域づくりの事例紹介(ヤクルト、JR東日本等)がアーカイブ形式で公開されています。
今後は、令和7年秋を目途に第2回シンポジウムが実施され、同時に全国版PFホームページの本格運用が開始予定。都道府県・市町村・多様な団体への呼びかけや参画の促進が図られます。
対応のポイント
- 市町村や事業所は、地域で活動する多様な主体(企業・協同組合・NPOなど)との連携可能性を把握し、事業設計時に協議体を活用することが重要です。
- LIFE(科学的介護情報システム)等では直接の対応は不要ですが、生活支援・予防活動の記録や評価の観点から、関係性は意識しておくと良いでしょう。
- 介護ソフトには今後、生活支援に関する記録機能の拡張や、地域資源情報との連携が求められる可能性があります。
まとめ
今回の通知は、高齢者の地域生活を支える“担い手の拡充”と、“行政と民間の連携強化”に向けた転換点です。今後の報酬や制度改定にも影響する可能性があるため、自治体担当者や事業所管理者は、プラットフォーム構築や生活支援体制への参画を積極的に検討しましょう。
特に生活支援コーディネーターの役割はより重くなっており、地域課題の整理と民間連携を進めるための「場づくり」がカギとなります。