介護請求業務の効率化に欠かせないのが、介護請求ソフトです。多くの選択肢がある中で、事業所に適したものを選ぶことは、非常に難しいでしょう。

本記事では、介護請求ソフトの特徴や機能を徹底比較し、選び方のポイントやおすすめの介護請求ソフトを紹介します。さらに、介護請求ソフト導入のメリットや従来の「国保連請求」との違いも解説。介護事業者の業務改善に役立つ情報なので、ぜひ参考にしてください。

介護請求ソフトとは？

介護請求ソフトとは、介護保険制度に基づいてサービス利用者の請求処理を行うためのソフトです。利用者ごとのサービス内容や時間、介護度などの基本情報を入力すると、自動的に介護報酬を計算し、国民健康保険団体連合会（以下、国保連）へ請求するためのデータを作成します。

他にも、請求書や明細書の作成、エラーチェック機能、利用者情報の管理など、介護事業所の事務作業を大幅に効率化し、ミス削減にも貢献する重要なツールです。

介護請求ソフトと国保連請求との違い

介護請求ソフトは、下記のような事業所の請求業務に対応することを目的としています。

• 国保連への請求書の作成、伝送
• 利用者管理
• 各種計画書の作成や日々の記録
• 職員の勤務管理や給与管理
  など、さまざまな機能を搭載しています。

国保連請求のための伝送ソフトは、国保連への請求書の作成と伝送のみの機能であり、その他の機能は搭載されていません。両者を比べると、対応する機能の範囲が異なるため、事業所の規模によって適したソフトを検討しましょう。

　

介護請求ソフトを導入するメリット

介護請求ソフトを導入するメリットは、以下の通りです。

• 請求書に関する業務を効率化できる
• 書類管理業務がスムーズになる
• 求めている情報に簡単にアクセスできる

請求書に関する業務を効率化できる

利用者の基本情報やサービス利用の実績を入力することで、請求金額をスムーズに計算でき、国保連や利用者へ送る請求書作成業務の効率化ができます。

また入力ミスや基本情報と加算の組み合わせについても、エラー表示などのチェック機能が搭載されており、返戻のリスクを減らせます。

書類管理業務がスムーズになる

介護請求ソフトの導入により、利用者情報や請求書・明細書のデータをシステム上に保存できるため、紙に印刷してファイリングをし、棚に並べて保管するといった一連の書類管理業務の手間を省くことができます。

求めている情報に簡単にアクセスできる

紙をファイリングして情報を管理していると、手作業でデータを探す必要があるので、知りたい情報を探すのに時間がかかってしまうでしょう。

介護請求ソフト上では、利用者の情報を集約し、情報や請求履歴、請求状況などを簡単に確認できるため、結果として、業務全体の効率化やケアの質向上につながることも期待できます。

おすすめの介護請求ソフト

介護請求ソフトは数多くあります。事業所に適したソフトを選ぶため、15のソフトを3つのポイントでお伝えします。

• どんな機能があるいのか
• サポートサービスの特徴
• 費用はどのくらいなのか

まもる君クラウド｜株式会社インタートラスト

「まもる君クラウド」は完全クラウドタイプの介護ソフトです。請求、記録、売上管理、「科学的介護情報システム（LIFE）」への対応など、介護事業者に必要な全ての機能がそろっています。

国保連伝送はオプションサービスの「おくる君」が対応し、ワンクリックで請求データを伝送できます。

パソコン、スマートフォン、タブレットに対応しており、使いやすい操作画面でスムーズな情報共有を実現します。

対応サービス	あらゆる事業者・業種に対応、大規模向け
サポートサービス	カスタマーセンター・遠隔操作
費用（税抜）	まもる君：7800円～／月 おくる君：1000円／月

WINCARE｜株式会社富士通Japan

「WINECARE」は「さまざまな課題を解決し、介護の現場にイノベーションを」をコンセプトに日々の記録作業から保険請求業務まで、トータルに支援するソフトです。法人の枠を超えた多職種コミュニケーションや、医療と介護の情報共有など地域包括ケアをICTで支えます。

スマートフォンやタブレットで撮影した画像をすぐに加工でき、掲示板の機能もあり、タブレットでの運用面においても評価されています。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、大規模向け
サポートサービス	カスタマーセンター
費用	要問い合わせ

かんたん介護ソフト｜株式会社LITALICO

「かんたん介護ソフト」は、低価格で国保連請求や事業所の運営を効率化することを目指した介護ソフトです。介護保険だけでなく障害者総合支援や自費サービスにも対応しており、移動支援や総合事業の請求書も作成できます。

パソコン3台まで同時に利用ができ、操作方法が分からないときの電話での質疑応答は手厚く丁寧だと高評価です。

保守費用やバージョンアップ費用も不要で、コストパフォーマンスに優れています。

対応サービス	介護保険が中心
サポートサービス	電話
費用（税抜）	1法人：9800円～／月

ケアマネくん｜株式会社日本ケアコミュニケーションズ

「ケアマネくん」は居宅介護支援の業務を網羅し、クラウド系の支援ソフトです。バージョンアップの度に使いやすいと評価されています。

介護報酬請求システムの「キャンピルネオ」と予定や実績の連携を行うことで、請求や伝送以外の経営面からも事業をトータルサポートできます。

法人のサービスに合わせて、多彩なオプション機能から必要な機能が選択可能です。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、中小向け
サポートサービス	無料・電話・メール
費用（税抜）	通所介護：1万4000円～／月 居宅療養管理指導：3000円～／月

トリケアトプス｜岡谷システム株式会社

「トリケアトプス」は、介護保険サービスと障害福祉サービスに対応した介護ソフトです。国保連請求だけでなく、計画書作成や職員のスケジュール管理、給与計算などさまざまな業務が行えます。

現場の声に耳を傾けており、「こんな機能が欲しい！」を標準機能として定期的にアップデートしています。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、中小向け
サポートサービス	電話・メール
費用（税抜）	A種：220円×利用人数／月（上限5500円／月） B種：440円×利用人数／月（上限8800円／月） 高齢者住宅：1100円／月

介舟ファミリー｜株式会社日本コンピュータコンサルタント

「介船ファミリー」は、請求業務だけでなく、バイタルなどの日々の記録や情報共有もできる介護ソフトです。シンプルな画面で、機械操作が苦手なスタッフでも簡単に使えます。

料金は完全月額定額制で、法改正やバージョンアップの際にも追加料金はかかりません。複数サービスのシフトがまとめて管理できたり、必要に応じてカスタマイズしたりも可能です。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、中小向け
サポートサービス	電話・遠隔サポート・操作説明会
費用（税込）	標準パック：1万6500円～ 簡易パック：5500円～

ほのぼのNEXT｜NDソフトウェア株式会社

「ほのぼのNEXT」は小規模事業者から大規模事業者まで対応している、豊富な機能をそろえた介護ソフトです。請求業務はもちろん、記録の音声入力や財務、給与など、福祉・介護施設における業務をサポートしてくれます。

全国の介護福祉事業者に多くの導入実績があり、介護報酬改定の追加料金もなく、科学的介護情報システムにも完全対応しています。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、大規模向け
サポートサービス	直接訪問・オンライン操作説明・電話・リモート・会員専用ホームページ
費用	要問い合わせ

ワイズマンシステムSP｜株式会社ワイズマン

「ワイズマンシステムSP」は請求処理や集計資料の出力、タブレットを活用したケア記録など業務全般に対応しています。

介護給付・予防給付・総合事業全てに対応し、できないことを探す方が難しいほど何でもできるソフトです。これから必須となる見守りシステムやナースコールとの連携も積極的に行っています。

医療・介護・福祉をトータルサポートし、オプションも多数あり、ニーズに合わせてカスタマイズできます。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、大規模向け
サポートサービス	電話
費用	要問い合わせ

カイポケ｜株式会社エス・エム・エス

「カイポケ」は保険請求の機能に加え、業務・採用・購買・金融・営業・M&Aなど40以上のサービスを提供し、介護事業者の経営を総合的に支援します。一度入力したデータは記憶され、必要な書類へ連携されるので、転記も不要です。

タブレットやスマートフォンで作成した記録がソフトに連動し、音声入力などを活用することで、現場の職員の業務を削減できます。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、大規模向け
サポートサービス	電話・オンライン・訪問・動画マニュアル・メール
費用（税抜）	1000円～／月

カナミック｜株式会社カナミックネットワーク

「カナミック」は日々の介護記録から経営管理まで、経営者目線の機能が充実したソフトです。経営戦略や事業所の運営管理を見える化し、介護事業所のチーム連携をサポートします。

医療と介護の連携に力を入れているため、デイサービスと居宅介護の情報連携のほかに、病院側との連携も可能です。

日々の業務も音声入力による記録入力やスマートフォンでのタッチ記録、二次元コードの読み取りもできます。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、大規模向け
サポートサービス	電話・研修会
費用	要問い合わせ

ケアカルテ｜株式会社ケアコネクトジャパン

「ケアカルテ」は、請求業務だけでなく記録やデータの集計・分析などが行える介護ソフトです。ナースコールやバイタル測定器、見守り機器などのICT機器と連動して計測記録を管理し、記録は家族や外部関係者と簡単に共有できるので、連携を取り合ったケアを可能にします。

音声やスマートフォン・タブレットでの記録もできるので、介護を必要としている方々と「向き合う時間」を増やせるでしょう。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、大規模向け
サポートサービス	電話・メール
費用	要問い合わせ

　

ケア樹｜株式会社グッドツリー

「ケア樹」は業務帳票や計画書管理、記録、請求、分析業務まで介護施設運営全般をトータルにサポートする介護ソフトです。

さまざまなプランを用意しており、初期導入費用は1～50万円ほどかかりますが、システム利用料が月額0円のプランもあります。

簡単で使いやすい画面設計で、必要な機能を直感的に操作ができ、使いやすさに定評があります。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、中小向け
サポートサービス	電話・メール
費用（税込）	34980円～／年

寿｜株式会社南日本情報処理センター

「寿」は請求・記録・経営資料の作成ができるソフトです。全ての介護サービスに対応しており、法人全体のデータを統合して一元管理することで、データの二重入力や抜け漏れを防ぎます。

科学的介護情報システム、タブレット・スマートフォン、介護ロボット・センサー連携にも対応しています。

分かりやすく迷わない画面デザインで、画面サイズや表示メニューをよく使用する機能だけに絞り込んで職種や個人設定ができます。

対応サービス	介護保健施設・居宅支援居宅サービス・居宅・地域密着型サービス
サポートサービス	電話・メール・遠隔操作
費用	要問い合わせ

ナーシングネットプラスワン｜プラスワンソリューションズ株式会社

「ナーシングネットプラスワン」は、日々の事務作業の手間を省き、国保連請求まで一気通貫で行うことができるソフトです。マルチデバイスに対応しており、訪問介護やテレワークなど、場所を問わず全スタッフの介護業務の効率化ができます。

初期費用、更新費用、サポート費用が無料なので、低価格での導入と運用が可能です。自動アップデートで、いつでも最新版の状態で使用できます。

対応サービス	あらゆる事業者・業務に対応、中小向け
サポートサービス	電話・遠隔操作・操作説明動画
費用（税抜）	5000円～／月

けあ蔵｜アルティウスリンク株式会社

「けあ蔵」はクラウド方式の伝送請求専用ソフトです。インターネットが利用できるパソコンがあれば、どこでも利用可能です。どこのメーカーの介護請求ソフトで作成されたものでも、国保連に伝送処理ができます。

マニュアルがなくても迷わずスムーズに操作できるシンプルさと、充実のサポートで応える安心により、事務作業の負担軽減につながるでしょう。

伝送処理忘れ防止アラート機能があり、送信を忘れていないかの確認をメールで知らせます。

対応サービス	伝送請求専用
サポートサービス	電話
費用（税込）	1100円／月

まとめ

各ソフトの特徴や機能、価格帯を検討し、施設規模や業務ニーズに応じた選び方を紹介しました。

介護請求ソフトの導入は、業務効率化やミス削減、データ管理の改善など、多くのメリットがあります。国保連請求との違いを理解し、それぞれの事業所に最適なソフトを選ぶことで、介護サービスの質の向上にもつながるでしょう。

本記事の情報を参考にあなたの施設に合った介護請求ソフトを見つけ、ぜひ業務改善の第一歩を踏み出してください。