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介護事業所の立ち上げ方法とは?助成金やかかる費用なども紹介

現在、介護事業所に勤務している方で「いつかは自分の事業所を立ち上げたい」「自分の理想とする施設をつくりたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

介護事業所を立ち上げる際には、決めなければならないこと、申請の手順や費用の準備など、さまざまな面で一定の大変さがあります。今回は、介護事業所の立ち上げについて詳しく解説します。記事を読んで、事業所の立ち上げをスムーズに進めましょう。

介護事業所の法人形態とは?

介護事業所を立ち上げる際には、施設の設備の基準や人員の基準など、国や自治体が定めた基準を満たす必要があります。基準を満たすことで、介護事業者の指定が受けられ、「指定事業所」として名乗ることができます。

この指定を受ける基準の1つに「法人格」の取得があり、原則個人では指定を受けられません。ここでは、指定を受けるための法人形態にはどのような種類があるか解説します。

非営利法人のケース

介護事業所立ち上げで、法人格を取得できる形態の1つに「非営利法人」があります。非営利法人には「社会福祉法人」「医療法人」「特定非営利活動法人(NPO法人)」の3種類あり、それぞれの特徴やメリット、デメリットを知っておくことが大切です。

法人形態目的などメリットデメリット
社会福祉法人
  • 社会福祉事業を行うことを目的としている
  • 社会福祉事業の他に交易事業所や収益事業を行うことも可能
※ただし「社会福祉と関係のある公益を目的とする事業」「収益を社会福祉事業や一定の公益事業に充てる」などの要件を満たす必要がある
  • 「社会福祉施設等施設整備費国庫補助金」という、施設設備に使用する補助金を受けられる
  • 社会福祉事業、公益事業から生じた所得には法人税がかからないなどの税の優遇がある
  • 設立要件が厳しく、運営には指導監督が入ることから、世間からの信頼性が高い
  • 行える事業が社会福祉事業、公益事業、収益事業の3種類で事業展開に制限がある
  • 適正な法人運営の確認などのために、所轄庁職員による指導監督がある
医療法人
  • 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の開設を目的としている
  • 開業医とは該当する税制度が変わり節税につながる
  • 都道府県知事の厳格な審査が必要で、社会的信用性が高い
  • 理事長交代の手続きのみで、事業承継がスムーズ
  • 毎年の事業報告書の提出、監事による監査の実施や総会の実施など運営が煩雑
  • 健康保険・介護保険・厚生年金などへの加入が必須となるため、運営費がかさむ可能性がある

特定非営利活動法人(NPO法人)
  • 「特定非営利活動促進法(NPO法)」に基づいて設立され、不特定多数の人の利益を目的に活動
  • 資本金や出資金の条件や会社設立を登記するための登録免除税がない
  • 非営利活動と認められているため、行政や銀行、企業との取引の際、個人よりも社会的に信用度が高い
  • 税制面で優遇されている
  • 知事の認可を得て設立登記までに時間がかかる
  • 活動分野が20種類と限定されている

営利法人のケース

介護事業所は、社会福祉法人や医療法人だけなく、株式会社や合同会社などの営利法人でも立ち上げられます。営利法人には、社会福祉法人とは違ったメリット・デメリットがあるので、見ていきましょう。

法人形態目的、形態などメリットデメリット
株式会社   
  • 株式を発行して資金を集め、営利目的でサービスなどを提供する会社
  • 社会的認知度があり、安心感を得られやすい
  • 株式発行による資金調達がしやすい
  • 1人でも設立できる
  • 事業拡大しやすい
  • 設立時に登録免許税など、設立費用がかかる
合同会社
  • 2006年の会社法改正で新たに創設された会社形態
  • 会社の所有者と経営者が同じのため、自由度が高い
  • 定款認証が不要なため設立費用が安く、事業立ち上げを早く行うことができる
  • 1人でも設立できる
  • 創設されて年数が浅く、株式会社に比べると社会的信用が劣る
  • 株式による資金調達ができないため、国や自治体の補助金や助成金、融資が基本となり資金調達しにくい

介護事業所を立ち上げる流れ

介護事業所の立ち上げをできる限りスムーズするためには、事前準備が必要不可欠です。事業開始まで、どのようなスケジュールで手続きや準備を進めていくべきか、解説します。

1. 事業内容を決定する

介護保険サービスは、通所介護や訪問介護など、さまざまな事業が展開されています。これから自分で立ち上げようとしている事業は、どの分野なのかを決めることが重要です。

また、事業の内容を決定した後は、事業の開始時間や、実際にサービスを提供する地域、事業を立ち上げるための資金の調達計画も決めなければなりません。そして、それらの項目を含めた「事業計画書」を作成する必要があります。

立ち上げる介護事業所によって、それぞれ必要な人員や事業所の設備的要件が異なるため、指定基準を確認しながら書類を作成しましょう。書類の提出先や必要な書類が変わることもあるため、事前にチェックしておくことで手続きがスムーズになります。

2. 法人を設立と資金調達

介護事業所を立ち上げて、指定を受けるためには、法人格の取得が必要です。営利法人なのか非営利法人なのか、その中でも、どの種別で法人設立するのかをあらかじめ決めておかなければなりません。

また、法人を設立するためには費用がかかります。非営利法人の社会福祉法人や医療法人は、営利法人の株式会社や合同会社に比べ、基本金や資本金の金額も多く必要です。一方で株式会社や合同会社は、最低資本金が1円から設立できます。

あくまでも「設立可能」というだけなので、実際に立ち上げようとしている介護事業所の規模やそれに伴う人員などから、どの程度資金が必要になるのかを事前に下調べしておいてください。

3. 立ち上げ準備

法人格を取得した後は、事業所の立ち上げ準備に入ります。事業所の立ち上げには、事務所が必要となるため、賃貸契約をするかもしくは建築しなくてはなりません。

事務所は、立ち上げる介護事業所の設備基準に沿って準備します。事務スペース以外にも、相談スペースや、場合によっては静養室などが必要になる可能性もあるでしょう。

同時に、介護福祉事業所を運営できる状態であるという証明のため、事務所内部の写真の提出が必要なので、机や椅子、鍵付き書庫などの事務所備品も用意します。

設備だけでなく、提出する書類の準備も必要です。全てそろえた上で行政に提出、協議に入ります。
また、事務所だけでなく働く職員の確保も必要になります。管理者となる職員や、立ち上げる事業所によってそれぞれ必要な専門職種が違うため、配置基準を満たすよう人員も整えます。

4. 指定前研修や指定書申請

介護事業者の申請を行う前に、指定前研修を受ける必要があります。指定前研修は、立ち上げた介護事業所がスムーズに指定を受けるため、申請する前に実施する研修で、管理者となり得る職員を対象として行います。

研修は各自治体によって予定が異なるので、事前に確認し、忘れずに受けなければなりません。研修を終えると、指定書が交付されます。

指定書は、立ち上げる地域の自治体に申請しますが、提出前に再度、書類に不備がないか確認してください。提出の期日は、開業の前々月の15日が締め切り日となっている自治体が多いようですが、提出前に確認しておくことが望ましいでしょう。

申請書を提出した後は、重要事項説明書や契約書の作成のほか、必要に応じて社内規定・マニュアルなど各種書式の作成、介護報酬請求ソフトの導入、従業員の採用・保険や給与の手続きなどを準備してください。時間を有効に活用することにつながります。

5. 事業開始

法人格の取得や、事業内容の決定、事前準備と申請などさまざまな手順を踏み、指定を受けた後は、立ち上げた介護事業所のサービスを開始します。

指定日が開業日ですが、原則各月の1日となるため、事業開始に不備がないか、前月の末日までに改めて最終確認しましょう。

介護事業における指定基準

介護事業所は、サービス種類ごとに定められた事業所の運営の基準が設けられています。指定を受けなければ、介護保険サービスを提供する事ができず、サービスを提供しても介護保険からの給付を受けられません。

基準には「人員基準」「設備(施設)基準」「運営基準」の3種類があり、指定の有効期限は6年間で、その都度指定の更新を受けます。ここからは、それぞれの基準について解説します。

人員基準

人員基準とは、介護事業所において適切な介護や医療を提供するために、介護福祉士や看護師などの専門資格を有した職員を一定数以上、配置することを定めた基準です。立ち上げる介護事業所の種別や、利用者の数によって異なりますが、人員配置基準に違反した場合、指定の取り消し・効力停止の処分が下される可能性があるため注意が必要です。

人員基準では、「常勤換算」や「専従」といった普段聞き慣れない単語が出てきます。

人員基準における「常勤」とは、従業員が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本)勤務している従業員のことを指します。例えば、常勤の勤務時間が週40時間の介護事業所の場合、正社員・パートタイマーなど雇用形態にかかわらず、勤務時間が週40時間であれば常勤として扱うことになります。

「専従」とは、サービス提供時間帯を通じて、当該サービス以外の職務に従事しない従業員のことを指します。

運営基準

介護事業所における運営基準とは、介護保険のサービスを提供し、事業所を運営していくに当たって守るべきルールを指します。利用者や家族に対して取り組むべきこと、事業所として必要な書類などについて記載されています。

運営基準に定められる項目や内容は、サービス種別に関係なく共通していることと、異なるものがあり、例えば運営規定の作成や秘密保持の厳守、虐待防止などは、全てのサービスに共通しています。種別ごとに異なるものとして、訪問介護では同居家族に対してのサービスの禁止事項について、通所介護では利用定員の順守について示さなくてはなりません。

自身が立ち上げる介護事業所の運営基準にはどのような内容があるのか、事前準備の段階でしっかりと確認しなければなりません。

設備基準

介護事業所では、その種別によって機能訓練室や静養室、食堂、トイレ、事務室など、さまざまな空間や設備の設置が義務付けられています。これらを定めたものが、設備基準と呼ばれるものです。必要な設備に加え、万が一の火災に備えて消火設備についても、施設の面積や構造などに適した設置が求められます。

また、介護事業所の指定申請を行う際には、設備基準を満たしていることを証明する書類として、事業所の平面図や「備品・設備等一覧表」などを提出しなくてはなりません。申請する際には、内容の不備に注意してください。

介護事業所を立ち上げる際の資金調達方法

介護事業所を立ち上げる際、ある程度まとまった資金が必要になります。

自身で資金の蓄えがある方は、そこから捻出できますが、立ち上げた介護事業所の経営が安定するかどうかは、事業所開始時点ではわかないため、万が一に備えて自身の蓄えから立ち上げにかかる資金を全て捻出することはリスクが高いと考えられます。

次に事業所を立ちあげる際の資金調達方法について解説します。

銀行や信用保証協会からの融資

資金調達方法として一般的なのが、金融機関からの融資です。借入先には、銀行の他に日本政策金融公庫などがあります。日本政策金融公庫とは、民間金融機関の取り組みを補完し、日本の中小企業や小規模事業者などの、事業に取り組む方々を支援する政策金融機関です。

銀行からの融資と違い、事業実績がなくても融資が受けられ、返済期間が長く、保証料不要で融資を受けられることが大きな特徴です。

上記の特徴からも、介護事業所を立ち上げようとしている方に向いている金融機関ですが、融資条件など自身の状況に合った金融機関を選択する必要があります。

助成金や補助金

資金調達には、国や地方公共団体が設けている助成金や補助金を活用する方法もあります。
助成金は主に厚生労働省が管理し、補助金は地方自治体が管理していますが、どちらも基本的に返済の必要はありません。介護事業に利用できる補助金は「介護労働環境向上奨励金」「特定求職者雇用開発助成金」「トライアル雇用奨励金」の3種類です。

また、介護事業所を立ち上げた時だけでなく、その後事業所を運営して行く上で職場環境を整備した際にも、助成金が受けられます。例として「人材確保等支援助成金」「働き方改革推進支援助成金」「デジタル機器導入促進支援事業」などがあります。自身の立ち上げた介護事業所がどの助成金に該当するのか、都度確認しましょう。

介護事業所の立ち上げを成功させるポイント

介護事業所は立ち上げることがゴールではなく、その後も安定して事業所運営を継続していくことが重要です。介護事業所を成功させるポイントを、いくつか解説します。

地域の状況やニーズに合ったサービス・場所を選ぶ

介護事業所を立ち上げる際、開業しようとしている地域にはどのようなサービスが充足していて、不足しているのか把握することが重要です。地域に不足しているサービスであれば、開業した後も一定の利用者を獲得しやすく、事業所の実績を積むことにもつながるでしょう。

質の高いケアを提供する、ケアの質を高めていく

どのサービス種別においても、利用者に提供するケアの質を求めていくことが大切です。質の高いケアを提供することで、利用者の満足度も高まります。

ケアの質を高めるために、適切な職員の配置やマニュアルの作成、研修への参加など取り組む必要があります。

職員と良好な関係を築く

介護事業所を立ち上げても、1人では事業所を継続することはできません。事業所の代表者も含め、事業所に勤務するスタッフが円滑にコミュニケーションのとれる関係性や環境をつくることと、多職種が勤務する施設では職員間の連携がスムーズにとれることも重要な要素です。

まとめ

今回の記事では、介護事業所の立ち上げの方法や手順について解説しました。事前準備や、資金の調整、開業後のポイントなど、事業所を開設・継続していくためには、要点を抑えながらしっかりとスケジュールを組み立てて取り組む必要があります。

どの種別の介護事業所を開設しても、介護記録や給付管理などの請求業務は発生します。「まもる君クラウド」は居宅介護支援ソフトや、通所介護ソフト、訪問介護ソフトなど介護保険サービスに必要な介護ソフトを網羅し、請求業務にも対応が可能です。事業所管理の効率化、職員負担軽減のために検討してみてください。

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