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介護コラム
国保連請求ソフトの機能や料金を解説!民間ソフトとの比較も
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介護事業所は毎月1日~10日までに国民健康保険団体連合会(国保連合会)へ介護報酬の請求を行います。そのためには、利用者ごとに介護保険請求額を集計しそのデータをCDもしくはインターネットを介して国保連合会へ送る、いわゆる「伝送」業務が必要になります。
国保連請求ソフトについては国民健康保険中央会(国保中央会)が提供するシステムと民間のソフト会社が提供するソフトの2種類があり、機能面や料金体系に違いがあります。
本記事では国保中央会の提供する国保連請求ソフトについて詳しく解説し、民間ソフトとの違いを比較していきます。
国保連請求ソフトとは?
国保連請求ソフトとは、国保中央会の提供する「国保中央会介護伝送ソフト」のことで、請求データを作成する「簡易入力ソフト」と、作成したデータをインターネットを介し国保連へ送る「伝送通信ソフト」がセットになっています。
インターネット以外で伝送する方法としてCDに請求データを落とし、郵送で国保連へ送る方法もありますが、CDへデータを写す手間や、請求の結果が郵送でしか受け取れない事から、インターネットを介して伝送を行う事業所がほとんどです。
参考資料:国保中央会介護伝送ソフト
簡易入力ソフトとは?
簡易入力ソフトとは請求データを作成するために使用するソフトで、主な機能は以下の通りです。
- 台帳管理機能
利用者台帳、事業者台帳、保険者台帳、介護サービスマスタの管理が可能です。しかし、介護サービスマスタは手入力になっており、自動で表示させるためには別途提供されている介護保険給付費単位数表標準マスタ(9,000円/年)の取込が必要となります。
参考資料:介護給付費単位数表標準マスタのご案内 - 請求明細書・給付管理票作成機能
国保連合会へ提出する必要のある請求明細書及び給付管理票の作成が可能です。
伝送通信ソフトとは?
伝送通信ソフトとは、簡易入力ソフトで作成した請求データを国保連合会へ伝送するために使用するソフトです。伝送業務だけではなく国保連から送られてくる「審査支払結果通知」や「連絡文書」等の受信が可能で、インターネット上で請求の結果を確認することができます。
国保連請求ソフトの利用方法は?
国保連請求ソフトを利用するためには国保中央会からソフトを購入し、国保連へインターネット伝送を行う届出が必要となります。それぞれの流れを簡単に解説します。
- インターネット環境の準備
国保連請求ソフトを利用するためにはインターネット環境が必要になります。まずは事業所のパソコン、通信環境が推奨されている動作環境に即しているのかを確認しましょう。
OS | ・Windows 10 Home (32bit/64bit)、Windows 10 Pro(32bit/64bit) ・Windows 11 Home (64bit)、Windows 11 Pro(64bit) ※記載のない動作OSは、動作保証の対象外です。 |
webブラウザ | Microsoft Edge ※記載のないWebブラウザ は、動作保証の対象外です。 |
CD-ROMドライブ | インストール時に使用 |
モニター解像度 | 1280×768ピクセル以上 |
通信環境 | インターネット回線(推奨 ADSL 以上) |
- 国保連伝送ソフトの申込
国保中央会のサイトより「介護伝送ソフトVer.10申込書」をダウンロードし必要事項を記載します。申込書送付専用のアドレスに申込書を添付し送信すると2〜3営業日以内に申し込み完了のメールが届きます。 - 国保連伝送ソフトのインストール
申込が完了すると郵送にてソフトが送られてきます。請求に使用するパソコンにインストール用CDを挿入し「伝送請求API」「伝送通信ソフト」「簡易入力ソフト」をインストールします。ソフトのインストール作業はこちらで完了です。 - 国保連へインターネット請求開始の届出を行う
国保連合会へインターネット伝送を開始する届出を行います。事務手続きの詳細については市町村により若干異なりますが、国保連合会から「介護給付費等の請求及び受領に関する届」が届く事が多く、請求の媒体区分を「伝送(インターネット)」にし郵送にて提出します。 - 電子請求受付システムの設定を行う
上記の届出が承認されると「電子請求登録結果に関するお知らせ」が届きます。こちらに記載されているユーザーIDと仮パスワードを使い電子請求受付システムにログインをします。また、初回ログインの際には仮パスワードから本パスワードへの変更が必要になります。 - 電子証明書のインストールを行う
電子請求受付システムにログイン後、電子証明書を請求を行うパソコンへインストールします。この電子証明書により電子署名を行い、名義人によって請求されたデータかを国保連側で確認できます。
国保連請求ソフトの料金は?
国保連請求ソフトを利用するためにはソフトと電子証明書2つの料金がそれぞれ必要になります。
- 国保連請求ソフト:1ソフト60,000円(送料、消費税込)
- 電子証明書:13,200円(税込)
合計で73,200円となります。ただし、国保連請求ソフトは3年に一度ある法改定のタイミングで新しいバージョンのソフトを再購入する必要があり、電子証明書の有効期限も3年となっているのでこちらも3年に一度13,200円で取得しなおす必要があります。
国保連請求ソフトのメリット
国保連請求ソフトを導入するメリットは以下の通りです。
機能がシンプル
国保連請求ソフトには大きく分けて「利用者情報の管理」「請求データの作成」「伝送」の3機能のみになります。そのため機能が非常にシンプルで、余計な操作を覚える必要がありません。
民間の請求ソフトでは機能が多すぎると感じたり、ある程度、介護保険請求の経験がある場合は、国保中央会の提供する国保連請求ソフトで十分対応が可能です。
法改定への対応が確実
介護報酬改定の際には民間のソフトも含めバージョンアップが必要になる事がほとんどです。ソフトによっては対応が遅れたり、システムの不具合が頻発するケースもありますが、国保中央会の提供するソフトなので比較的スムーズに対応が完了します。
国保連請求ソフトのデメリット
国保連請求ソフトを導入する際には何点か注意が必要な部分があります。
国保連への請求業務しか出来ない
国保連請求ソフトは国保連への請求機能しかなく、利用者への請求や介護記録、計画書作成のような機能は一切ございません。別途必要な場合は他の介護ソフトを導入する必要があり、結果的に2ソフト分のコストと管理の手間が発生してしまいます。請求以外にもソフトで管理する事を考えている場合は一元管理の出来る介護ソフトを導入することでトータルのコストや手間も省くことができます。
更新費用が必要になる
国保連請求ソフトを利用する場合導入73,200円でソフトと電子証明書を取得してしまえばランニングコストは必要ありません。しかし、一度購入してしまえば永久的に利用できるわけではなく、国保連請求ソフトは3年に一度の法改定のタイミングで買替が必要となり、電子証明書は有効期限が3年間となっているので、必ず更新費用が必要となります。
決まったパソコンでしか操作出来ない
国保連請求ソフトはパソコンへ直接インストールして利用するため、決まったパソコンでしか操作ができません。そのため複数台で利用する場合や、パソコンを買い替える際は新たにソフトを購入する必要があります。
操作説明がない
民間の介護ソフトでは導入前や導入後に操作説明や請求のサポートを行ってくれますが、国保連請求ソフトにはそういった操作説明がなく、基本的には自身でマニュアルを確認しながら操作方法を覚えていく必要があります。パソコンの操作が苦手だったり、不慣れな職員では運用が難しいケースもあります。
民間の国保連請求ソフトとは?
請求機能の付いたソフトは国保中央会以外にも、民間の企業が販売する請求ソフト(介護ソフト)もあります。基本的な機能は国保中央会の物と変わりありませんが、電子証明書の取得やインストール作業が不要なソフトもあり、料金面でも国保連請求ソフトより安価に済むケースがあります。
また、民間の国保連請求ソフトなら国保連合会への請求だけではなく、介護保険外サービスの管理や利用者への請求書、領収書の発行や、口座引き落としに必要な全銀協フォーマットの出力に対応している請求ソフトもあります。
クラウドタイプの請求ソフトならどのパソコンからでも操作でき、クラウド上にデータを保存できるため、災害時やパソコンが故障した場合でもデータが失われることはありません。
国保連伝送サービス「おくる君」なら
国保連伝送サービス「おくる君」なら月額1,000円(税別)/1事業所番号で利用できます。面倒なインストール作業や更新は一切不要で電子証明書の取得も必要ありません。
クラウドタイプのソフトなので複数台で利用する事ができ、パソコンを買い替える際や故障した場合でもデータが失われることはありません。
また、まもる君クラウドと連動することにより、作成した請求データをワンクリックで伝送することができるため、初めて請求業務を行う方でも簡単に運用していただけます。
まとめ
国保中央会の提供する国保連請求ソフト(簡易入力ソフト+伝送通信ソフト)を利用する事で毎月必要な国保連合会への介護保険請求が行えます。
しかし、3年毎にソフトの買い替えや電子証明書の更新が必要になったり、介護保険の請求業務にしか対応していないなど懸念点もいくつかあります。
ただ、民間の企業が提供する請求ソフトなら更新やインストールが不要で、介護保険請求以外にも利用者請求や計画書の作成、介護記録にも対応したソフトがあります。料金も国保連請求ソフトより安価に済む場合もあるため、まずは事業所にとってどこまでの機能が必要なのか、予算はどれぐらいなのか、サポートはどこまで必要なのかなど総合的に判断し、最も適した請求ソフトを選定するようにしましょう。