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介護や福祉事業のIT導入補助金の申請方法や概要を詳しく紹介!
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IT導入補助金は、2017年から経済産業省が管轄となって始まった制度です。本記事では、IT導入補助金の概要をはじめ、補助金の対象や申請から交付までの流れについて、介護事業者に焦点を当てて解説します。
制度を正しく理解し、IT導入補助金を活用して働きやすい職場環境を整えましょう。
目次
IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは、ITツールを導入する際に利用できる補助金制度です。まずは、IT導入補助金の基本を押さえておきましょう。
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2024」
参考:中小企業庁「IT導入補助金について」
IT導入補助金の概要
IT導入補助金は、業種を問わず、中小企業や小規模事業者が対象の補助金であり、経済産業省が管轄しています。過去にIT導入補助金の申請が受け付けられた組織形態としては、株式会社・有限会社・合資会社・特定非営利活動法人(NPO法人)などが挙げられます。
以上のような組織において、ITツールを導入して業務の効率化やインボイス制度へ対応する際、経費の一部が補助されるのがIT導入補助金です。
なお、受け取れる補助金はIT導入費用の全額ではありません。あくまで補助上限額や決められた補助率の範囲内となります。
IT導入補助金を受けられる介護事業者や介護施設
IT導入補助金は中小企業や小規模事業者を対象とするため、介護事業者や介護施設は事業者の規模によって活用が可能な場合があります。
介護事業者や介護施設の場合、以下のいずれかの項目に該当する法人は利用が可能です。
- 資本金または出資の総額が5,000万円以下
- 常時働いている従業員数が100人以下
- 医療法人または社会福祉法人で、常時働いている従業員数が300人以下
IT導入補助金は、業種を問わず要件に該当した場合に活用できる制度です。事業所が該当するか否かはあらかじめ確認しておきましょう。
IT導入補助金の額
IT導入補助金は、目的に応じて以下の5種類に分かれており、種類によって補助金額が異なります(※IT導入補助金2024の場合)。
①通常枠
補助率は、導入にかかった費用の2分の1以内とされ、最大で450万円の補助を受けられます。
対象経費は、業務効率化のためのソフトウエアやシステムの導入費です。
業務工程が1プロセス以上の場合は5万円~150万円、4プロセス以上の場合は150万円~450万円となっています。
②インボイス枠(インボイス対応類型)
補助率は、導入にかかった費用の5分の4〜2分の1以内とされ、最大で350万円の補助を受けられます。
対象経費は、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトなど、業務の効率化を目的として導入したものです。
PC・ハードウェアや会計ソフトなど、導入するものによって補助率や最大の補助金額が異なります。
③インボイス枠(電子取引類型)
補助率は、導入にかかった費用の3分の2〜2分の1以内とされ、最大で350万円の補助を受けられます。インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入した場合に対象となります。補助額は~350万円となっています。
④セキュリティ対策推進枠
補助率は、導入にかかった費用の2分の1以内で、最大100万円の補助を受けられます。サイバー攻撃といったリスクに対応するために導入したソフトウエアなどの導入費が対象です。
⑤複数社連携IT導入枠
商工団体や観光振興に取り組む団体など、複数の中小企業が連携する場合に限られた導入補助金です。補助率は、内容によって5分の4〜2分の1以内で、最大3,000万円の補助が受けられます。
特定の商圏での事業などで、複数の中小企業・小規模事業者などが連携してITツールを導入し、生産性の向上などを図る取り組みにかかる費用などが対象となります。
なお、補助率および補助額は、規模やグループ構成員数、補助対象経費によって変動します。
IT導入補助金の対象外となるもの
IT導入補助金に限らず、費用や導入に関する効果の予測は、補助金の申請前に行う必要があります。交付決定前に購入したものは、一般的に対象外です。
IT導入補助金を申請する際に、ITツールの利用料の金額が定められていないものや、リースやレンタル契約のITツール、中古品は該当しません。
また、IT導入補助金の交付決定前に発注・契約・支払いなどを行ったITツール、交通費、宿泊費、補助金の申請代行費、消費税なども対象外です。
なお、リース・レンタル契約に関して、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用については例外として認められています。
IT導入補助金の対象経費と対象となるツールについて

IT導入補助金は、ITツールを導入することで中小企業や小規模事業者の業務の効率化や生産性の向上を目的としています。単なるパソコンの購入は対象経費とは認められません。一方で業務効率化のため、介護システムの入ったパソコンを導入して利用者情報をクラウド化によって管理する場合は、介護システムの導入費用やパソコンなどITツールの購入費用がはじめて対象経費となります。
介護施設や福祉事業者もIT導入補助金を利用できますが、経営課題の解決につながるソフトウェアやハードウェア、介護の業種固有の機能を持つソフトウェアが対象です。またIT導入補助金の対象は事前に登録されている「ITツールの導入費用」になります。
介護ソフト導入のためにIT導入補助金を受ける場合、介護ソフトを運営している会社が「IT導入支援事業者」を申請し、導入企業が審査に通過することが前提であることに注意しましょう。
ITツールは、「ソフトウェア」「オプション」「役務」「ハードウェア」「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の5つに分類と10個のカテゴリーに分かれており、各対応枠によって申請が可能です。
参考:中小企業庁「IT導入補助金について」
介護ソフトなどのソフトウェア
大分類Ⅰは、介護ソフトなどのソフトウェアです。こちらは、通常枠、インボイス(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、複数社連携IT導入枠にて対応ができます。
オプション
大分類Ⅱのオプションは、導入したソフトウェアに必要な機能として、機能拡張、データ連携ツール、セキュリティがあげられます。通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、複数社連携IT導入枠にて対応ができます。
役務
大分類Ⅲは、導入したソフトウェアに対して、導入コンサルティング、導入設定、マニュアル作成、導入研修等があげられます。通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、複数社連携IT導入枠にて対応できます。
ハードウェア
大分類Ⅳは、ハードウェアとしては、、保守サポート、 PC・タブレット・プリンター・スキャナー、複合機、 POSレジ、モバイルPOS レジ・発券機があげられます。
サイバーセキュリティお助け隊サービス
大分類Ⅴは、サイバーセキュリティお助け隊サービスです。「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の利用料が対象です。
ITツールを導入すると便利になる一方で、外部からのアクセスにより個人情報が流出する危険、サイバー攻撃を受ける可能性があります。サイバーセキュリティお助けサービスを利用することにより、危険を未然に防ぎ、安全にITツールが利用できる環境を整えることができます。
IT導入補助金の申請から交付までの流れ

IT導入補助金の申請をする際は、はじめにIT導入支援事業者に補助金事業に関して相談をする必要があります。具体的な流れや事前に必要な書類などについて解説します。
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業「新規申請・手続きフロー」
事前に準備しておくもの
補助金の申請に関しては、申請者が個人の場合と法人の場合で異なります。
申請者が個人の場合は、以下の書類が必要です。
- 運転免許証(有効期限内)又は運転経歴証明書又は住民票(発行から3ヶ月以内)
- 直近分の所得税の納税証明書(その1又はその2)
- 直近分の所得税確定申告書
申請者が法人の場合は以下の書類が必要です。
- 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
- 直近分の法人税の納税証明書(その1又はその2)
書類に不備があると申請ができないため、サービス等生産性向上IT導入支援事業の公募要領や交付申請の手引きを確認しましょう。
その他、IT導入補助金は、導入を希望する事業者単独による申請はできません。IT導入支援事業者と共同での申請が原則です。IT導入支援事業者は申請画面への入力を共同で行います。
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局「公募要領」
申請から交付までの流れ
- IT導入支援業者と申請者との間で商談などを進め、交付申請の事業計画策定を行う
- 「IT導入支援事業者ポータブル」から、補助金の交付を希望する申請者に対して、「申請マイページ」の開設が可能となる
- 「IT導入支援事業者ポータル」から、補助金の交付を希望する申請者に対して、事務局による「申請マイページ」の招待申請を受け、申請者は「申請マイページ」の開設が可能となる
- 今後5年間の売り上げや労働時間などの計画数値をはじめとした事業計画関連情報や、導入予定のITツール情報について、「IT導入支援事業者ポータル」に入力する
- 交付申請情報の入力が完了した後、申請者に対し内容の確認・承認を依頼する
- 申請者が入力内容の最終確認後、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する
上記の他に、関係施策への取り組みとして、「gBizIDプライム」のアカウントの取得、「SECURITY ACTION」宣言の実施および、「みらデジ経営チェック」の実施が補助金の申請要件となります。
アカウントの取得などは日数がかかるものもあるため、日程の調整は早めに行いましょう。
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2024」
IT導入補助金を利用するメリット

IT導入補助金を利用するメリットは、以下の3つが挙げられます。
①返済が不要
IT導入補助金は、申請時に事業計画など多くの書類が必要とされます。交付が決定した場合、不正がない限り基本的に返済を求められることはありません。
②費用負担を抑えてITツールの導入が可能
ITツールは業務の効率化に効果的ではあるものの、導入には高額な費用がかかります。IT導入補助金は、通常枠を例に挙げると最大450万円までの交付を受けることができ、費用負担の軽減が可能です。
③業務の効率化が可能
福祉業界に限らず、どこの業界でも人手不足が続いています。
ITツールを導入することで、今まで手作業で時間をかけて行っていたことがシステムによって短時間でできるようになる、情報の共有がスムーズになるなど、働く人にとっても負担軽減につながります。
IT導入補助金を利用するデメリット
IT導入補助金を利用するデメリットは、以下の2つが挙げられます。
①給付は後払いのため資金が必要
IT導入補助金の場合、交付が決定されてもすぐに導入費用が支払われるわけではありません。まずは事業者のほうで立て替えて全額支払う必要があります。
②申請に手間がかかる上、導入できるITツールが限られる
IT導入補助金は、IT支援事業者として事前登録されているシステム会社であることや導入できるツールが限られています。そのため、利用できるITツールが、必ずしも利用したいものではない場合もあります。
利用したいITツールが事前登録されているものか否かを、事前に確認することが必要です。
IT導入補助金を申請する際の注意点

IT導入補助金を申請する際の注意点を3つ紹介します。
IT導入補助金への理解を深める
IT導入補助金について、会社全体で理解を深めましょう。
ITツールの導入は、業務の効率化や働きやすい職場環境の整備に役立ちます。しかし、なぜ導入したのかを従業員1人ひとりが理解ができていないと、業務負担を強いることにもなりかねません。
ITツールで対応できるところは、会社全体で業務改善を行っていく必要があります。
その他、年度によって始まりの時期が異なります。IT導入補助金の申請を考えているのであれば、いつから募集が始まるのか、必要な書類が何かなど情報収集を行い、早めの準備が必要です。
ITツールに関するリサーチをしておく
IT導入補助金はあくまで導入のための補助であって、会社として今後負担していく経費があります。また、一度導入すると、数年単位で利用していくことになります。
導入したITツールを制度や状況に合わせてカスタマイズしようとしても、ITツールの入れ替えは多くの費用がかかるため、簡単なことではありません。
先を見据えてITツールに関するリサーチをしましょう。
必ず補助金を受けられるわけではない
IT導入補助金は、年度ごとの予算が決められています。申請を行ったからといって必ず補助金が受けられるわけではありません。
一方でIT導入補助金の採択率は、2023年は約76%と高い数値となっています。日程の間違い、申請書類の不備や提出書類の不足は、補助金申請の対象とはならないため、気をつけましょう。
参考:サービス等生産性向上IT導入支援事業「IT導入補助金2024」
まとめ

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者に対しての補助金です。介護事業者以外にもさまざま業種が対象となります。
介護事業者に限らず、ITツールの導入には多くの費用がかかります。一方で人手を増やすことは困難なため、業務の効率化や働く人の負担軽減、環境の整備にITツールは欠かせません。
全額ではないものの、IT導入補助金は対象のITツール導入費の一部を負担します。ITツールの導入を考えている事業所は、制度を利用することで導入時のコストダウンにつながるでしょう。