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【2024年法改定対応】入院時情報連携加算の算定要件など詳しく解説
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入院時情報連携加算は、居宅介護支援事業所の利用者が、入院時に医療機関に対して情報連携することで算定できる加算です。
医療機関では適切な処置が必要となり、ケアマネージャーからの迅速な情報提供により利用者のいち早い社会復帰を実現します。また、医療機関との密なコミュニケーションを行い連携の強化を目的とされています。
本記事では入院時情報連携加算の基本的な知識から、複雑な日数の数え方、加算を算定するうえでの注意事項について詳しく解説しています。是非参考にしてください。
入院時情報連携加算の算定要件と単位数
※赤字の部分が変更点
| 改定前 | 改定後(2024年4月~) |
|---|---|
| 入院時情報連携加算(Ⅰ) 200単位 / 月 利用者が病院又は診療所に入院してから3日以内に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。 | 入院時情報連携加算(Ⅰ) 250単位 / 月 利用者が病院又は診療所に入院した日のうちに、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。 ※入院日以前の情報提供を含む。 ※営業時間終了後又は営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含む。 |
| 入院時情報連携加算(Ⅱ) 100単位 / 月 利用者が病院又は診療所に入院してから4日以上7日以内に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。 | 入院時情報連携加算(Ⅱ) 200単位 / 月 利用者が病院又は診療所に入院した日の翌日又は翌々日に、 当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な 情報を提供していること。 ※営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日を含む。 |
2024年の改定では、入院時の迅速な情報連携をさらに促進する観点から、情報連携に要する日数が短縮されています。また事業所の休業日等に関する解釈が明記されました。
参考:厚生労働省|令和6年度介護報酬改定における改定事項について
入院時情報連携加算ⅠとⅡの違い
利用者が入院してからいつまでに情報連携を行ったのかによって、算定できる区分は異なります。入院時情報連携加算(Ⅰ)は、入院した日のうちに情報連携する必要があるのに対して、入院時情報連携加算(Ⅱ)は、入院した日の翌日または翌々日に情報連携することで算定することができます。
また、入院時情報連携加算(Ⅰ)は入院日以前の情報提供も対象となるため、事前に入院が分かっている場合はあらかじめ情報連携することでより上位の加算を算定することができます。
入院時情報連携加算3日以内の数え方
入院時方法連携加算は、情報連携にかかった日数に応じて算定できる区分が異なるため、まずは日数の数え方について正しく理解する必要があります。
入院時情報連携加算(Ⅰ)の場合
入院時情報連携加算Ⅰは、利用者が入院した当日に情報連携することで算定することができます。
しかし、入院が営業時間外や営業日以外の場合、その日の内に情報提供することが難しいため、そういった場合には入院した日の翌日までに情報連携することで、入院時情報連携加算(Ⅰ)を算定することができます。
入院時情報連携加算(Ⅱ)の場合
入院時情報連携加算Ⅱは、入院した日の翌日もしくは、翌々日に情報連携することで算定することができます。つまり、月曜日に利用者が入院した場合、火曜日もしくは水曜日までに情報連携する必要があります。
また、営業時間外に入院し、営業日から起算して3日目が営業日でない場合、その翌日に情報連携することで入院時情報連携加算(Ⅱ)を算定することができます。例えば、金曜日の営業時間外に入院した場合、金曜日を1とし、3日目にあたる日曜日が営業日ではない場合、月曜日までの情報連携が認められています。
具体的な日数の数え方
情報連携の日数は、入院が営業時間内なのか時間外なのかで数え方が変わるため、複雑に感じられる方もいるのではないでしょうか。以下の図に分かりやすくまとめていますので、是非参考にしてください。

①入院日:月曜日(営業時間内)
入院した当日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅰ」を算定できます。
入院した翌日または翌々日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅱ」を算定できます。
②入院日:火曜日(営業時間外)
入院した当日もしくは翌日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅰ」を算定できます。
入院した翌々日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅱ」を算定できます。
③入院日:木曜日(営業時間内)
入院した当日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅰ」を算定できます。
入院した翌日または翌々日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅱ」を算定できます。
④入院日:金曜日(営業時間外)
入院した当日もしくは翌日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅰ」を算定できます。
入院した翌々日またはその翌日に情報連携すると「入院時情報連携加算Ⅱ」を算定できます。
入院時情報連携加算の留意点
入院時情報連携加算を算定するうえで、ケアマネージャーが注意すべき留意点をまとめています。
算定の上限回数と併用について
入院時情報連携加算ⅠとⅡの併用は不可です。同月内でどちらか一方のみしか算定することはできません。また、算定回数は1月に1回が上限となっています。
月をまたいで情報連携を行った場合
月末(1月末)に入院し翌月頭(2月頭)に情報連携を行った場合、入院時情報連携加算は月末(1月末)で算定します。原則翌月10日までに情報連携を行えば、当月請求分として加算算定することが可能です。
参考:厚生労働省|介護保険最新情報vol.69 問64
参考:宇治市|介護報酬算定等に係るQ&A(事業者向け)No.24
当該月にサービス利用がない場合
前月にサービス利用はあったが、情報連携を行った当該月にサービス利用がない場合、10日までの情報連携であれば、サービス利用のあった前月の請求分で入院時情報連携加算を算定することができます。
しかし、10日を過ぎて情報連携を行った場合は算定することができません。
参考:厚生労働省|介護保険最新情報vol.69 問64
参考:宇治市|介護報酬算定等に係るQ&A(事業者向け)No.25
必要な情報と連携方法
必要な情報
ケアマネージャーは以下の情報を医療機関へ連携する必要があります。また、厚生労働省より入院時情報提供書のダウンロードが可能です。
- 医療機関に入院する利用者の入院日
- 心身の状況(病歴・疾患、認知症による徘徊の有無)
- 生活環境(家族構成、介護状況や介護方法)
- 介護支援の利用状況
連携方法
医療機関への連携方法は特に設けられていません。以前は口頭での情報連携のみとされていましたが、現在はメールやFAXなどでの情報連携も認められています。
しかし、入院先の医療機関とより確実な連携を確保するため、医療機関とは日頃より密なコミュニケーションを図ることが重要とされています。FAX等による情報連携の場合でも、先方が受け取ったことを確認するとともに、確認したことを支援経過等に記録しておく必要があります。
介護情報基盤を活用した情報連携
介護情報基盤とは介護に関する情報を集約し、介護事業所はもちろん市町村や医療機関が、インターネット上で利用者のあらゆる情報を共有できる仕組みです。
本格稼働は令和10年4月を予定しており、現在準備が進められている状況です。

介護情報基盤では、被保険者証や要介護認定情報などの電子的なやり取りを想定しており、そのひとつに入院時情報提供書のやり取りも想定されています。

引用元:厚生労働省|介護情報基盤について
現在、入院時情報提供書についての具体的な情報はありませんが、将来的に介護情報基盤を通して入院時情報提供書のやり取りが可能となれば、医療機関との迅速な情報連携と、業務負担の削減が期待できます。
入院時情報連携加算のQ&A
厚生労働省より公表されている入院時情報連携加算に関するQ&Aについてご紹介します。
| 問 118 入院日以前の情報提供については、入院何日前から認められるか。 |
|---|
| (答) 特段の定めは設けていないが、情報提供日から実際の入院日までの間隔があまりにも 空きすぎている場合には、入院の原因等も踏まえた上で適切に判断すること。 |
| 問 119 入院時情報連携加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)について、入院したタイミングによって 算定可能な日数が変わるが、具体的に例示されたい。 |
|---|
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